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老後・FIRE設計

iDeCoの受け取り方と税金|一時金・年金・併用の手取り比較と10年ルール

11分で読めるShisan編集部
本記事について: 税率・制度・金額等は 2026年6月4日 時点の情報です。本記事は情報提供を目的としており、個別の投資・税務アドバイスではありません。実際の判断は必要に応じて専門家にご相談ください。編集ポリシー
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記事内の試算はShisanシミュレーターで自分の数字で確認できます。(登録不要・無料)

iDeCoの3つの受け取り方

iDeCoは原則60歳から受け取りが可能で、3つの選択肢があります。

受取方法の比較

受取方法 課税区分 適用控除 特徴
一時金 退職所得 退職所得控除 + 1/2課税 大きな控除、累進課税の影響大
年金 雑所得 公的年金等控除 長期分散、他の年金と合算
併用 両方 退職所得控除 + 公的年金等控除 両方の控除を最大化可能

それぞれの最適化は受取者の状況により異なります。

注意: 本記事は税率・控除など税法令に基づく執筆時点の解説です。個別の税務判断は税理士へのご相談をおすすめします。

① 一時金で受け取る

iDeCo を 60歳から一括で受け取る方法。退職所得として扱われ、退職所得控除と1/2課税の優遇があります。

一時金のシミュレーション

前提: 加入30年 / 受取総額 1,800万円

項目 金額
受取総額 1,800万円
退職所得控除(30年) 1,500万円
控除後 300万円
退職所得(× 1/2) 150万円
所得税(5%) 約 7.5万円
復興特別所得税 約 0.16万円
住民税 約 15万円
税金合計 約 22.7万円
手取り 約 1,777万円(98.7%)

→ 1,800万円のうち約99%が手取り。一時金の優遇は強力です。

一時金が有利なケース

  • 加入期間が長く、退職所得控除が大きい
  • 受取総額が比較的少額
  • 退職金がない(自営業など)
  • 一括投資で運用したい

注意点

  • 退職金との合算ルールに注意(後述の10年ルール)
  • 一度に大金が振り込まれるため、運用計画が必要
  • 累進課税のため大きな金額だと税率が上がる

② 年金で受け取る

iDeCo を 5年・10年・15年・20年 などの期間で分割受取する方法。雑所得として公的年金等控除が適用されます。

公的年金等控除の仕組み

受給者の年齢 控除額の目安
65歳未満 年60万円までほぼ非課税
65歳以上 年110万円までほぼ非課税

公的年金(国民年金・厚生年金)と合算した収入額に応じて、控除額が段階的に増えます。

年金受取のシミュレーション

前提: 65歳から10年分割(年180万円受取)/ 他に公的年金250万円あり

項目 金額
iDeCo 年金: 年180万円
公的年金: 年250万円
合計: 年430万円
公的年金等控除(65歳以上) 約 145万円
雑所得(公的年金分) 約 285万円
所得税(10%程度) 約 28.5万円
住民税(10%) 約 28.5万円
社会保険料増 約 25万円
年間手取り: 約 348万円

10年合計手取り: 約 3,480万円(公的年金含む)

→ 公的年金等控除を毎年活用できるため、長期で見ると手取りが多くなることも。

年金が有利なケース

  • 受取総額が大きい(控除を超える部分を分散)
  • 他に公的年金収入があり、控除を合算で最大化したい
  • 定期収入として活用したい
  • 一括取得後の運用が不安

注意点

  • 社会保険料が上がる(年金額に応じて健康保険料増)
  • 公的年金等控除の超過部分は累進課税
  • 受取期間中、運用は続くが解約自由度が下がる

③ 一時金 + 年金の併用

最も柔軟で税負担最小化しやすいのがこの方法です。

併用のシミュレーション

前提: 受取総額3,000万円 / 加入30年 / 65歳から開始

パターンA: 全額一時金

項目 金額
一時金: 3,000万円
退職所得控除: 1,500万円
控除後: 1,500万円 → 退職所得 750万円
税金: 約 165万円
手取り: 約 2,835万円(94.5%)

パターンB: 全額10年年金

項目 金額
年金: 年300万円 × 10年
他の公的年金250万円ありとして
年間税負担: 約 35万円
10年合計税金: 約 350万円
手取り: 約 2,650万円(88.3%)

パターンC: 一時金1,500万円 + 年金1,500万円(10年)

項目 金額
一時金1,500万円: 控除内なので税金 0円
年金 年150万円 × 10年
公的年金控除内なので実質ほぼ非課税
手取り: 約 2,920万円(97.3%

併用が最も手取りが多いことが分かります。一時金で退職所得控除をフル活用、残りを年金で公的年金等控除内に収める戦略です。

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退職金との関係:「10年ルール」

iDeCo と会社の退職金を両方受け取る場合、退職所得控除が二重に使えない問題があります。これが俗に「10年ルール」と呼ばれています。

10年ルールの仕組み

  • 退職金を先に受け取った場合: 受取後 10年以内 に iDeCo を一時金で受け取ると、iDeCo の退職所得控除が大幅に減額される
  • iDeCo を先に受け取った場合: 受取後 20年以内 に退職金を受け取ると、退職金の退職所得控除が大幅に減額される

10年ルールの影響シミュレーション

前提: 65歳で退職金2,000万円 / 70歳で iDeCo 一時金1,500万円受取

ルール無視の場合

  • 退職金の控除: 2,060万円(勤続38年)→ 税金ゼロ
  • iDeCo の控除: 10年でフルに使えるはず → 但しルール適用
  • iDeCo の実質控除: 大幅減(重複期間分が控除対象外)
  • 結果: iDeCo の税金が 約100-200万円増加

退職金を75歳まで遅らせる場合

  • iDeCo を 60歳で一時金受取: 退職所得控除 1,200万円使用
  • 75歳で退職金: 15年経過しているので退職金の控除復活
  • 結果: 両方の控除がほぼフルに使える

10年ルール対応の戦略

パターン 戦略
退職金 → iDeCo の順 iDeCoを75歳まで繰り下げ受取(10年以上空ける)
iDeCo → 退職金の順 iDeCoを早めに受取、その後20年以上経って退職
iDeCo 年金受取 雑所得扱いなので退職所得控除と関係なし
退職金は一時金、iDeCoは年金 退職所得控除と公的年金等控除を別々に活用

詳しい退職金の税金については退職金の税金と受け取り方|一時金と年金どちらが得かで解説しています。

ケース別の最適な受取方法

ケース① 自営業(退職金なし)

iDeCo 一括受取が最もシンプル。退職所得控除をフル活用できる。

  • 加入30年 / 1,800万円 → 一時金で手取り 約 1,777万円

ケース② 会社員(退職金 + iDeCo)

退職金 2,000万円 + iDeCo 1,000万円のケース:

戦略A: 退職金65歳一時金 → iDeCo75歳一時金

  • 退職金: 控除内で税金ゼロ
  • iDeCo: 10年経過後の控除復活で税金ゼロ

戦略B: 退職金65歳一時金 → iDeCo70歳から10年年金

  • 退職金: 税金ゼロ
  • iDeCo: 公的年金等控除内に収まる可能性

ケース③ FIRE 達成者

60歳でリタイアし、iDeCo を早期受取したい場合:

ケース④ 高所得が継続する場合

70代も働く予定で所得が高いなら:

  • 一時金で受け取って 1/2課税を活用(最低税率に近い形)
  • 公的年金等控除より退職所得の方が有利な場合が多い

受取開始タイミング

iDeCo は 60歳から75歳まで の間で受取開始時期を選べます。

タイミング選択のポイント

開始年齢 メリット デメリット
60歳 早期受取で生活費に活用 退職金との10年ルール注意
65歳 公的年金開始と同時で計画しやすい 公的年金との合算で税負担増の可能性
70歳 公的年金の繰下げ受給と同期 75歳までに必ず受取開始
75歳(最遅) 退職金から10年以上空けて控除復活 受取期間が短い

繰り下げ受取の活用

公的年金の繰り下げ受給と同時に iDeCo も繰り下げると、両方の受取額が増え、税負担の調整もしやすくなります。

Shisan で iDeCo 受取シミュレーション

Shisan では、iDeCo + 退職金 + NISA + 公的年金 を統合した老後の総合手取りを試算できます。

試算手順

  1. 「現在の総資産」に各資産を入力(iDeCo 含む)
  2. NISA保有分を区別
  3. 月の積立額(iDeCo含む合計)
  4. 取り崩し開始年齢(受取開始)
  5. 月の取り崩し額
  6. 想定インフレ率(2%目安)

結果カードで:

  • 取り崩し開始時の税引後総資産
  • インフレ調整後の実質購買力
  • 資産寿命(何歳まで持つか)

複数シナリオ(一時金 / 年金 / 併用)を保存して比較できます。

まとめ

  • iDeCo の受取方法は 一時金・年金・併用
  • 一時金 → 退職所得控除 + 1/2課税で大幅優遇
  • 年金 → 公的年金等控除を活用(65歳以上で年110万円まで非課税)
  • 併用両方の控除を最大化 = 多くのケースで最有利
  • 10年ルール → 退職金と iDeCo の受取順序とタイミング次第で数百万円の差
  • 自営業:シンプルに一時金推奨
  • 会社員:退職金との順序を計画
  • 受取開始は 60-75歳 で柔軟に選択可能

iDeCo の受け取りは税負担最小化の最後の関門です。受取年の前に税理士・FPへの相談を強く推奨します。

iDeCo の2026年改正による拠出枠拡大はiDeCoの2026年改正、退職金の税金詳細は退職金の税金と受け取り方、老後資金全体の設計は老後資金はいくら必要?もあわせてご覧ください。

ぜひShisan で、iDeCo を含む老後資産の税引後手取り額を試算してみてください。

よくある質問

QiDeCoの受取方法はいつ決めるべきですか?
A

60歳到達前後に決定しますが、シミュレーションは50歳頃から始めるのが理想です。退職金との合算ルール、他の所得、健康状態などの変動要素が多いため、年に1回は試算をアップデートすることをおすすめします。

Q10年ルールとは何ですか?
A

退職金とiDeCoを両方一時金で受け取る場合、退職所得控除が二重に使えないというルールです。具体的には、退職金を先に受け取った場合、その後10年以内にiDeCoを一時金で受け取ると、iDeCo側の退職所得控除が大幅に減額されます。順序とタイミングが税負担を大きく変えます。

Q一時金と年金を併用するメリットは?
A

一時金で退職所得控除をフル活用し、残りを年金で公的年金等控除を活用することで、両方の控除を最大化できます。例えば1,500万円を一時金、残り1,500万円を10年年金で受け取ると、それぞれの控除を効率良く使えるため、全額一時金や全額年金より手取りが多くなるケースが多いです。

Q年金受取の期間は何年がベストですか?
A

5年・10年・15年・20年などから選べますが、公的年金等控除を最大化する観点では10年が目安です。短すぎると年間受取額が多くなり控除を超過、長すぎると複利効果が薄れます。他の年金収入とのバランスで10-15年が現実的です。

QiDeCoを受け取らずに保留することはできますか?
A

75歳までは受取開始を繰り下げ可能です。運用を続けながら受取タイミングを調整できるため、退職金との10年ルール対応や、税負担最小化のタイミングを選べます。ただし75歳までには受取を開始する必要があります。

共有:XLINE

本記事は情報提供を目的としており、投資・税務に関するアドバイスではありません。実際の投資判断・税務処理はご自身の責任において行い、必要に応じて専門家(税理士・ファイナンシャルプランナー)にご相談ください。掲載情報は執筆時点のものであり、税制改正等により内容が変わる場合があります。詳しくは利用規約をご確認ください。

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