「税引前」のシミュレーションが危険な理由|手取りで見る資産形成
多くのシミュレーターは「税引前」を見せている
「20年後に3,000万円になります」——資産運用シミュレーターでこんな結果を見て安心したことはありませんか。
しかし、その数字は多くの場合 「税引前・名目値」 です。実際に手元で使えるお金は、そこから:
- 税金(課税口座なら利益の20.315%)
- インフレ(将来のお金の価値の目減り)
を引いた金額です。この2つを無視すると、将来資産を最大40%近く過大評価してしまうことがあります。
税引前と税引後はどれだけ違うか
具体的な数字で見てみましょう。
ケース:元本500万円・年利5%・20年運用(課税口座)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 運用後の資産(税引前) | 約 1,327万円 |
| 運用益 | 約 827万円 |
| 税金(利益の20.315%) | 約 168万円 |
| 税引後の手取り | 約 1,159万円 |
→ 税引前の「1,327万円」を信じると、約168万円も多く見積もってしまいます。
積立のケース:月5万円・20年・年利5%
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 税引前 | 約 2,055万円 |
| 税金 | 約 174万円 |
| 税引後 | 約 1,881万円 |
インフレを足すとさらに差が開く
税引後の金額からさらに、インフレによる実質価値の目減りを考える必要があります。
年率2%のインフレが20年続くと、物価は約1.49倍。つまりお金の価値(購買力)は約3分の2になります。
先ほどのケースに当てはめると
| 視点 | 金額 |
|---|---|
| 税引前(名目) | 約 1,327万円 |
| 税引後(名目) | 約 1,159万円 |
| 税引後・インフレ調整後(実質) | 約 780万円相当 |
→ 「1,327万円」と思っていた資産が、実際に使える実質価値では 約780万円相当。**名目との差は約40%**にもなります。
インフレの詳しい影響はインフレで資産は目減りする?実質購買力をシミュレーションで可視化で解説しています。
なぜこの「見えない差」が危険なのか
① 老後資金を過大評価する
「3,000万円貯まるから老後は安心」と思っていても、税引後・実質では2,000万円を切ることも。準備不足に気づくのが遅れるのが最大のリスクです。老後資金の必要額は老後資金はいくら必要?を参照してください。
② 取り崩し計画が狂う
リタイア後に「思ったより使えるお金が少ない」と気づくと、生活設計の修正が困難です。現役時代に税引後で見ておけば、対策(NISA活用・積立増額・就労延長)を打てます。
③ 商品選びを誤る
税引前のリターンだけで比較すると、NISA(非課税)の価値を過小評価してしまいます。税引後で見れば、NISAの優位性が明確になります。
正しく見るための3つの視点
視点① 税引後で見る
課税口座の利益には20.315%がかかる前提で計算する。NISAは非課税なので分けて考える。
視点② 実質(インフレ調整後)で見る
将来の名目額を、現在の物価水準に換算した「実質購買力」で評価する。
視点③ NISA活用で税金をゼロにする
そもそも非課税枠を使えば、税引前=税引後にできる。まず新NISAを最大活用するのが王道です。
Shisanは最初から税引後・実質で表示する
一般的なシミュレーターの弱点を解消するために、Shisanは最初から税引後・インフレ調整後で結果を表示します。
Shisanが表示する2つの核心指標
- 税引後の使える資産:課税口座の利益にかかる20.315%を自動で差し引いた金額
- インフレ調整後の実質購買力:将来の名目額を現在の価値に換算した金額
名目額に惑わされず、「本当に使えるのはいくらか」を一目で把握できます。シミュレーターの正しい使い方は資産運用シミュレーションの正しい使い方で詳しく解説しています。
まとめ
- 多くのシミュレーターは**「税引前・名目値」**を表示している
- 課税口座では利益の**20.315%**が税金で減る
- さらにインフレで実質購買力が目減りする
- 名目と実質の差は40%近くになることも
- 税引後・実質で見ることで、老後資金の過大評価を防げる
- NISA活用で税金をゼロにし、Shisanで実質購買力を確認するのが最善
「税引前で◯千万円あるから安心」という思い込みは危険です。ぜひShisanで税引後・実質購買力を試算し、本当に使えるお金を把握してください。
よくある質問
税金は口座種別(NISA/課税口座)や個人の状況で変わるため、単純化のために税引前の名目額を表示するツールが多いのが実情です。しかし課税口座では利益に20.315%がかかるため、税引前の数字をそのまま「使えるお金」と考えると大きく見誤ります。
課税口座で運用益が出ている場合、利益部分の約20%が税金で減ります。例えば元本500万円を年利5%で20年運用すると、税引前は約1,327万円ですが税引後は約1,159万円。約168万円の差が出ます。さらにインフレを考慮すると実質購買力はもっと下がります。
税引後の金額からさらにインフレ分が目減りします。年率2%のインフレが20年続くと、物価は約1.49倍になり購買力は約3分の2に。税引前の名目額と、税引後・インフレ調整後の実質購買力では、40%近い差が生じることもあります。
税金の面ではそうです。NISA口座は運用益が非課税なので、税引前=税引後になります。ただしインフレによる実質購買力の目減りはNISAでも避けられないため、実質ベースで見る視点は依然として重要です。
本記事は情報提供を目的としており、投資・税務に関するアドバイスではありません。実際の投資判断・税務処理はご自身の責任において行い、必要に応じて専門家(税理士・ファイナンシャルプランナー)にご相談ください。掲載情報は執筆時点のものであり、税制改正等により内容が変わる場合があります。詳しくは利用規約をご確認ください。